UFOロボ グレンダイザー完全版/永井豪・岡崎優


UFOロボグレンダイザー 完全版 (マンガショップシリーズ)

UFOロボグレンダイザー 完全版 (マンガショップシリーズ)

過去の漫画作品を精力的、かつマニアックに復刻している、マンガショップによる単行本。2012年4月発行。


個人的には成井紀郎先生のテレビマガジン版(以下、テレマガ版と呼称)『宇宙鉄人キョーダイン『ゴーゴー悟空』予告漫画もろとも復刻したことで狂喜したものですが、今回紹介する分もやはりテレマガ版、『キョーダイン』と時期が被っているのがなんとも(しかも両方ともポピー提供)。


これまでの『グレンダイザー』単行本とはアプローチを一変させ、「テレマガ連載版」にクローズアップした構成。詳しい経緯は本著並びに公式HPにて掲載されているので略しますが、原作者・永井豪先生が担当されたのが第1〜8話、永井先生のアシスタント経験があり、『キューティーハニー』のコミカライズも手掛けた岡崎優先生が第9〜18話を担当。岡崎先生版は初の単行本収録


本著で意味があるのは、あくまで「テレマガ掲載版」を追体験できること。それゆえ、初出時の『偉大な勇者グレートマジンガー』最終回(小松崎茂氏の見開きグラビアも掲載!)の終盤、兜甲児とグレンダイザーの遭遇がオリジナルの状態で読めるのは快挙の一言。また、永井・岡崎両先生の作品をひとまとめにしたことで、ごく自然に「流れに沿って」読めるのも良い。巻末には、『グレート』との作品リンクを断ち切った、講談社コミックス版のプロローグも収録。あと、ページの穴埋めには後年発行のコミックス用イラストも併録されています。


岡崎優先生へのバトンタッチは、アニメ中盤からキャラクターデザインが小松原一男氏→荒木伸吾氏へバトンタッチしたこともあり、ある意味運命的な人選だったと思います。


巻末のインタビューは、当時テレマガ編集長として辣腕を振るっていた田中利雄氏。これも詳細は略しますが、後にコミックボンボンの編集長を務めた池田新八郎氏のお名前が出てきてドッキリ。ほか、何故か柳沢テツヤ氏のコラム寄稿がありますが、当時『グレンダイザー』のファンだった上に本作で人生を狂わされた、という点では共感を持つ方もいらっしゃることでしょう。


編集・インタビュー聞き手は「濃い」内容で定評のある編集スタジオ・TARKUSの五十嵐浩司氏(但し連名)。氏は20年以上前からアニメ・特撮作品記事の編集・ライターを手掛けており、玩具系にも造詣が深く、超合金マジンガーZのバリエーションを定義づけた、第一人者でもあります。先の『キョーダイン』も氏によるもので、マニアックな視点での「掘り下げ」は健在と言えるでしょう。


『グレンダイザー』の漫画版といえば桜田吾作先生版も有名ですが、この機にオリジナル版を手にされるのも一興かと。